『JARL代議員制度』に想う!

  『JARL代議員制度』に想う!    IT-ADRセンター JA2ANX 稲垣直樹

 制度設計の欠陥と組織理念の崩壊が始まる今の選挙制度!
     
§Ⅰ. H26年度選挙の特徴

今回選挙は、前回H24年選挙に比し、特に目に見える症状がある。
① 白票及び無効票が激増した。(全国理事候補者枠366件/21,621名→853件/18,120名)
② JARL会員の選挙参加率(全国投票率)の低下傾向が続く(35.2%→33.3%)
③ 「革新」、「刷新」が叫ばれた割に新人登場が少ない。(無風地区・支部が多い)
④ 誰に投票していいか判らない(選挙公報で所信表明が無い)公報であった。
⑤ 会員数低減傾向以上の異常な投票数減少は何があったのか?説明を要す現象である。
これらは過去から言われてきた事でもあるが、潜在する選挙制度問題の影の声の露呈度が増している。問題指摘の裏に大きな課題が含有されている例も耳に入った。
⑥ どうせ社員会のドタバタ劇で選挙当選してもゼロからスタートだ。意味が無い。
⑦ 社員は質問権があるのみ、総会で質問したので満足だ。
⑧ JARLはQSL転送以外に期待するものはない。
⑨ 現定款は(旧社団の焼直しで一社の看板を変えたのみで字面合わせ)心が入ってない
⑩ 民意を聞いてくれる窓口が組織体制にない。
などが、河のセセラギのごとく聞こえてくる。これらの根本的課題を含む問題は、しばらくするとまた忘れ去られ、目につく議論や特定役員理事のせいにした悪者探しのフェーズに入ってしまう。
これらの指摘は10年前にも「改革」や「構造変化」が叫ばれたが(注1)、10年経過しても何ら変わっていない現状である。我々は進化したのであろうか?また、昨今の理事諸君の働きに脈動する兆候すらない。
 白票が増し投票率が下がり続く現象は、会員の心が離れ会員組織の崩壊が始まっているのでないか。昨今反って醜態を曝け出した会長独裁体制時より幼稚な逆行の坩堝に陥っているのでないか。悲しく寂しい。

§Ⅱ.なぜ困惑状態に陥ったか?

 「選挙」、「選任」は制度として美しい制度と想起させる用語であるが、問題はその道具を使う人達の良識レベルが制度の有効性を決するのである。綺麗な民主化の語彙のもとに、1人1票が与えられ地域会員数比例にマッチしない枠や実効が伴わない地方本部枠が残骸として存在する。また、社員は有限責任者であり倒産時の債務責任を負うのであり、理事や組織の活動を決める予算決算の決定責務を最終的に負っているのであるから、崇高な良識と自覚が必要でもある。会員数規模に対し100人~150人の社員が妥当か?の再検討を要する問題がある。
 また選挙立候補者は「自分のスキルに何があるか」「JARLに何を与えられるか」、これらを自己分析しておく必要がある。求めるJARL側も「役員、社員職に何を求めているか」を明確化しておかねばならない。また投票者行動が「コールサインの人気どり合戦(注2)」になっていないかが問われているのである。
 コールサインのみで見識・良識は計れないのに、頼りにする判断材料を持たせて貰えないのである。闇夜の烏を峻別するようなもので、今回のPDF選挙公報(注3)はいただけない。それらは立候補者が、①意見の異なる事案に対し前向きな解決策を見出す素質はお持ちであるか? ②理事社員に求められるスキルが自分は保有しているか? ③議事進行方法のルールが身についているか? ④問題抽出能力やIssue決定能力をお持ちか? ⑤意思決定の責任を役職辞めた後も感じなければならないか?⑥倫理観はどの程度自己拘束するのか?など自己分析を優先した上で成り立つことを忘れないでほしいものである。

§Ⅲ.「社員総会」という制度設計の不備か?

◎JARL選挙と社員総会選任行為の本質

これは、国政の国会議員を選びその議員達がその上部組織で党内選挙や首相を選んでゆく間接選挙制度に似ていて一般的に「代議員制度」としょうする。
 本邦は国民が首相を選挙投票する直接選挙制度をもたない。米国大統領選出は直接選挙であり、民意が反映される距離感を短く感じるが、これも人気どりファッションと揶揄する人もあるが、事前に十分の討議、方向性を語り国民に約束する(現実するに大変な努力がいる)行為を通して時間と国政出費を払っても効果を皆で享受する国民全体の成熟と肝要さ(懐の深さ)が要求される。さもなくば唱えるばかりでその後の実行となると、散々の「アラブの春」となってしまう。
 そこで日本の知恵は選任という言葉を法律に入れた英知がある。これは前述にある代議員選出に係わる頭の良い応用編と思えば気が楽になる。「一括選任」は任務に就いて戴くという儀式であり、良識的判断や施政者側の運用をうまく司る能力ある人での推挙人を形式的( 法律(注4)では反社会的活動や法律順守の建前から法的罪のない人を排除する目的:第65条)な儀式で、組織を守ろうとする英知である。
 株式会社に見られる執行側から株主総会で新しい人事案が突然提起されるような場合は就任反対が議決される場合があるが、その採択には株主持数という資本提供している絶対的な指標背景に持つ。社員制度を持つ生命保険会社が典型的な社員制度として我々に酷似しているが、生命保険会社も同様に代議員選出の第1クリーニングを通過させているが、正直、一般生保保有者がその代議員社員を選択するに判断材料はもたない。提案側の意向を斟酌するのが精一杯であり、加入する掛金の集合しその生保運用は別スキルが要求され、それらの行動を結果的に監視する役目を負う。
 一方、JARL社員は有限責任体制で倒産時の負債義務を社員各人が負う。責任思考がベースにあるのである。選任行為をどのように実施するかの一定の規則や規範はないが、JARL社員総会で選挙当選者を投票採決するにしても1人1票は悪平等のそしりを免れない。選任行為をどのように使いこなすかは、組織文化の熟成度(注5)による。

◎多数決は正しい議論を導くという妄想

 イノベーションや改革に伴う多くの場合、制度疲労に陥った組織や新規事案で自らにはめた枠の中にはそのものも答えがない場合が少なくない。イノベーションは枠の外にある。組織の伝統という枠や、定款また自分の強みに対する伝統的な解釈という枠や常識という枠を取り払らったところに、無限の答えがあるのです。(注6)
 JARLの組織内においては社総員会にしろ、理事会にしろ「多数決決着方法」が最終的な天下の宝刀として利用されているきらいがあるが、前例にない改革を行おうとすればするほど枠や反対者に遭遇するものである。物議を醸すことが、イノベーションの条件に含まれる理由は、人は基本的に保守的であり、直観的に大きな変化を受け入れ難いと感じる傾向があるため、斬新なアイデアには抵抗を感じる人が多いからである。
 また大多数の人が賛同するようなアイデアや提案は時遅しのそしりを免れない。経営者失格である。もし、物議を醸すようなアイデアが登場した場合には、多数決で採否を決めてしまわずに、物議を熟した時点でそこに改革の可能性があると判断することが大切である。多数決はとがったアイデアを丸くしてしまいます。または議論から外してしまう力に流されてしまう。(注7)
 何のために議長がいるのか再考を求めたい。単に理事が同数になった時の1票では情けない。途中の議論が醸す方法論のファシリテーター役が議長の役目である。多数決主義の誘導役であるが、多数決の虜になっては皆が沈没する。
 会長は、対外的代表の面を持ち外交と長期アイデンデティーの創生そして内部統制の成熟度を高揚させる旗振り役であり、地方支部や表彰式授与に立ち会うのが仕事ではない。

§Ⅳ.ミツバチの会議

 我々は十分なる討議のもとで制度設計された定款を持たない。現定款はたたき台の文言擦り合わせに終始し、混乱と怒号の名古屋総会で形のみ社団移行事務を先行させた。そして今、一般社団法人JARLと内閣府管轄の移行法人の2つの顔を持ち、且つ永年染みついた運営体制文化(規則や内部事務規定は抜本的見直しがされていない)のままで、民主的かつ合理的「話し合い」の方法や「民主的民意の汲み上げ方」を求め探した成果でないのである。
 この機会に、一度冷静に『ミツバチの会議』(注8)を復習したい。蜜蜂は女王を中核に抱え働蜂と巣蜂軍に分かれ、役割は字の如く花の蜜を集める蜂と女王を中心とする数千匹の集団が一定の規模を超すと次なる場所を探す巣蜂に分かれ、どこに新しい分巣をつくるかの過程で、その蜂達の自分が推薦する案を巡り、徹底的な議論をぶつける。その過程は互いに畏敬を持ち、否定的批判的な議論を排し徹底的な議論を尽くした後に、多数決採択は行わないで良識ある行動をとるのが観察されている。
 我々は選任行為の醜態行動より、分別ある知見を活かした皆が納得できる代議員制度の姿をつくろうとしているのである。それは人による集団意思決定は小規模(例えば友人や同盟間での合意)であれ、中規模(民主的な英国タウンミーティングでの選択)であれ、大規模なもの(国政選挙や国際的協定)であれ、広く行われていて重要な生きる術を積み重ねながら向上に向いた行動の中に生きているのである。もっとも効率の良い集団意思決定の方法について千年来、少なくともプラトンの「国家」から、そして間違いなくもっと以前から頭を悩ませてきたは不思議ではない。それでも社会的選択の改善は多くの未改善が残っている。なぜミツバチが常に最良の意思決定ができるのかの研究報告に評されている。(注9)
 報告では、メンバーの知識と知能を効果的にまとめ上げ、適切な集団的選択が行われる秘訣を
 教訓1:意思決定集団は、利害が一致し互いに敬意を抱く個人で構成する。
 教訓2:リーダーが集団の考えに及ぼす影響をできるだけ小さくする。
 教訓3:多様な解答を探る。
 教訓4:集団の知識を議論を通してまとめる。
 教訓5:定足数反応を使って一貫性、正確性、スピードを確保
が意思決定の知恵と記載されている。
 このように民主的集団のリーダーは、議論の成果でなく、プロセスを形作る役目を主に果たすものだということを、蜂が気づかせてくれている。
 我々は青少年の科学マインド振興のため子供達に公開実験をし窓口を広げている。この少年少女の会員にも選挙権は与えている。国政の20才より早く選挙行為を体験できるのであるから、背中を見せながら歩いている。我々は選挙をし、選任行為を行い、理事会の意思決定それが会員の手元に届くサイクルの組織全体を動かす仕組みを未成年者に見せているのである。それは国政選挙参加の前に来る。手本となってゆきたいものである。(注10)
 制度的欠陥の源流は「社員は誰が選任するか」、そして実活動が無い形だけの「地方本部長が本当に必要か」、そして年1回の社員総会(任期終わりの陣容)で、予算決算の承認と新しい理事候補者を採択するのが選任と心得る行為を、その場で同時議決する「ねじれ現象」をどう解消するかにあり、古い陣容が新しい風を拒む構造が潜んでいるのでないかにある。
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注1) JA2PFZ:[徒然なるままに・・・] http://tom.o.oo7.jp/2002/4/26、2004/3/30、2006/11/24、2010/11/24 他
注2) 選挙におけるコールサインと当選者確率の相関関係調査(呼出符号が古い方ほど社会的経験豊富で見識も高いとする正の相関度があるとする仮説)の先駆的研究がある。が、呼出符号の枯渇での再割当てや免許人自身の住居移動・海外勤務等の増加で相関は緩やかになっているのでないか。
注3) http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2-3_Kokuchi/2012/12senkyo-kohou.pdf
注4) 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律平成18年6月20日法律第48号
注5) 拙筆「判例評釈3選挙・選任と組織」http://www.newjarl.com/?page_id=476
注6) 引用『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司著日経BP社2014刊013頁
注7) 引用 同  011頁
注8) 『ミツバチの会議』Thomas D Seeley著片岡夏実訳築地書館2013/10/22刊
注9) 引用 同『ミツバチの会議』第5章、第10章
注10) 参考『学習する組織』Peter M. Senge著枝廣淳子他訳 英治出版2011/6/30刊
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CopyrightJA2ANX2014/5/5

by new_jarl | 2014-05-18 16:24  

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